福島県

喜多方(喜多方市)

喜多方は「蔵の町」と呼ばれ、市内には2000棟近い蔵造の建物があるという。またラーメンによる町興しも有名で、市内にあるラーメン店は120軒とか。町には観光辻馬車も走っている。会津藩の物資の集散地として栄え、江戸時代中期以降に今の町並みの骨格ができたそうだ。

南町(喜多方市)05.05.23 36×51cm
「蔵の町」と呼ばれているのに蔵が集中している中心部のふれあい通(中央通)にはアーケードがあってせっかくの蔵が目立たない。町外れともいえる「南町」に魅力的な町並みがあり、国道にまたがって蔵を構える造り酒屋をスケッチした。この酒屋の銘柄は「蔵粋」という。「蔵粋」は「クラシック」と読む。麹に名曲を聞かせるとうまい酒になるとかで、麹蔵にはモーツアルトの曲が流れているそうだ。それだけのことで、観光客に大人気である。

             喜多方のモクレン(F3) Fさん画
Fさんは付き合いで同じ酒屋の庭にあったモクレンをスケッチしたあと、さっそく「会津塗」などのショッピングへ。昼食はもちろんラーメン。笹屋旅館という宿に連泊したが、竹下夢二も泊まって描いたという、素敵な宿だった。

杉山(喜多方市岩月町入田付)05.05.23 36×51cm
喜多方市の市街地から北へ8キロほど北へ行ったところに「杉山」という集落がある。戸数20ほどの小さな集落だが、ほとんどの家が極めて重厚な造りの土蔵を構えている。田植えの準備が終わり鏡になった田んぼに、兜造りの見事な土蔵がその姿を映していた。不安定な畦に椅子を据え、落ちないかと冷や冷やしながら描いた。
この村は昔は木炭と笠の材料となるスゲ草の産地だったそうで、作業蔵や格納蔵、座敷蔵などとして明治期につくられたものが多いという。各家が屋根の形だけでなく防火扉の意匠を競っている。

三津谷の登り窯(喜多方市岩月町)05.05.23 23×48cm
杉山への途中に赤煉瓦造の土蔵が並ぶ「三津谷」というこれまた珍しい集落がある。蔵のスケッチはもう飽きたので、その煉瓦を焼いた登り窯を。大正時代に築かれ、一時閉鎖されていたが、1982年(昭和57年)、市の有形民俗文化財に指定されたのを機に生産が再開されたと説明板に書いてあった。

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