大阪府

海老江(大阪市福島区)

大阪市内で戦災の被害を受けていない場所を探していることを知ったネット仲間から「海老江もいいよ」と教えてもらった。JR東西線海老江駅で降りて国道2号線を淀川方向に歩くと、国道の両側に古い町並みがあちらこちらに残っている。なかでも石畳を敷き込んだ路地が魅力的だった。

海老江7丁目@(大阪市福島区)06.08.22 36×51cm
海老江駅からほど近い中海老江バス停付近に石畳を敷いた路地があった。「石畳保存自治会」の立て札もある。その路地を通り抜けると、国道と並行した一筋海側の細い道に、大阪特有の銅板葺きの民家がずらりと並んでいた。

海老江7丁目A(大阪市福島区)
06.08.22 F4




「海老江には石畳の路地があった」という話をFさんにしたら、「田辺聖子のエッセイにそんな風景を描写したものがあったよ」という。なるほど文芸文庫「00年版ベスト・エッセイ集」に「往時茫々」のタイトルで、昭和初期の福島区の様子を書いたエッセイが載っていた。田辺さんが子供のころ暮らした場所とスケッチした場所は一駅分離れているが、エッセイに登場する路地はおそらくこんな雰囲気だったに違いない。

海老江8丁目(大阪市福島区)
06.08.22 F6





真夏に町並みスケッチをする場合、午前や午後にはどこかに日陰ができるが、全く影がなくなる昼の時間が問題である。長めの昼食時間を取ったがまだ影はできないので、近所の公園に避難した。ベンチで昼寝をしている人もいる。ところが公園の木陰から路地の長屋が見通せるではないか。というわけで、時間つぶしに1枚。

海老江4丁目(大阪市福島区)06.08.22 F6
海老江4丁目の八坂神社周辺は道が複雑に入り組み、豪勢な屋敷が残っていた。何しろ日差しが強いので、日陰で描けるポイントを探す必要もある。椅子を置いた場所のご主人によると「このあたりは戦災を受けた場所も多いが、焼け残った場所もある」とのことだった。

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