京都府

清水寺あたり(京都市東山区)

清水寺は京都を代表する観光スポットで、周辺を含めると、おそらく観光客の数は京都で一番多いはずである。清水寺への道は五条坂、清水坂、産寧坂などがあるが、とくに産寧坂を上ったところから清水寺までの参道は年中、歩くこともままならない。そんななかでのスケッチの数々。

   
  清水寺(京都市東山区清水)16.12.05     36×51p     
  2017年の年明けから清水寺本堂の本格的修理が始まり、素屋根で隠れてしまうと聞いた。工事が終わるのは2020年の東京オリンピックのころという。この日は朝からとても暖かだったし、まだ紅葉は残っていると思い、清水寺へスケッチに出かけた。清水寺周辺では何枚もスケッチしているが、境内に入るのは初めて。小高い場所から三重塔や本堂など一連の建物が見渡せる「子安塔」の下へ行った。舞台の上は観光客であふれているが、谷を隔てた子安塔付近は観光客の数も少なく、ゆったりスケッチでききた。  
 
 
茶わん坂の横道(京都市東山区)    2015.09.12     F6
この日の飲み会の集合時間は午後5時半。鴨川畔で3枚描いたがまだ昼過ぎである。夕方までどこで描こうかと迷いながら、祇園を抜け、八坂の塔を横目で見て、清水寺に向かう茶わん坂(清水新道)まで来た。結局、以前描いたことがある茶わん坂途中の石段のある風景をもう一度描くことにした。この日は暑かったが、この場所には日陰もあるし、観光客も比較的少なく、静かな雰囲気で描ける。前回より石段そのものをアップで描いてみた。

清水寺から茶わん坂(京都市東山区)2013.03.22        F6
白内障手術後のケアも一段落したので、京都へスケッチに。何しろ景色がくっきり見えるようになったため、清水寺から茶わん坂を見下ろし、遠くに京都の市街地を見渡すアングルを選んだ。遠くがよく見えないことを口実に、これまでこのアングルを敬遠してきた。はっきり見えないのに細かく描くのと、細かいところまで見えるのにざっくり描くのはずいぶん気分が違うことを実感した。とはいえ、目がよくなったからといって絵の出来がよくなるということではないことも再確認。椅子を置いた場所は清水寺の出口。背中にずいぶん多くの人の目を感じながらのスケッチとなった。

茶わん坂から清水寺(京都市東山区)2012.11.20        F6 
「二年坂あたり」をひまつぶしさんと並んで描いたが、氏は手早くスケッチを終えてどこかへ行ってしまわれた。こちらは次のポイントが思い浮かばない。ふと、与堂さんが少し前に描かれた「茶わん坂から清水寺」を見上げるアングルを思い出した。清水寺周辺はまさに紅葉のピークで、産寧坂や清水坂などは身動きできないほどの人出。しかし、茶わん坂界隈は観光客が比較的少ないため、あまり気を遣うことなく道端に椅子を置くことができた。

「五龍閣」(京都市東山区)11.09.11     F6
京都・東山での悠彩会スケッチ会の続き。昼食会後、もう1枚描こうと清水寺の方へ向かった。スケッチ場所を絞り込めないまま、以前湯豆腐店だっ建物で最近カフェに衣替えしたという「五龍閣」の前に出た。幸い日影が確保できたので、その建物をまじめに正面から。一番下に西側の路地から同じ建物を描いた絵を掲載しているが、現在、その場所からはもう見えない。

清水坂@(京都市東山区)09.05.27   F6    
いつもスケッチ道具を乗せた大きなカートを曳いている。このため産寧坂より上の清水坂では歩くことさえ人様の迷惑になりそうで、これまで行ったことがなかった。この日は与堂さんと一緒だったため「一度清水坂で描いてみたい」と提案した。新型インフルエンザ騒ぎで修学旅行生の姿は見えないが、外国人を中心とした観光客は意外に多い。この場所は一人で描くには多少勇気がいるが、二人だと何となく心強い。

清水坂A(京都市東山区)09.05.27   F6 
清水坂を上っていくと、ぽっかりと穴が開いたように人影のない路地があった。入り込んで振り返ると、清水坂に沿って建つ店の構えも面白い。ということでもう1枚描くことにした。清水坂にはみやげ物店がずらりと軒を連ねているが、骨董品でも扱っているらしいこの店は何だか場違いな感じもする。しかし、こうした店が立派に成り立っているのがいかにも京都らしいともいえる。うしろから気持ちの良い風が吹き抜ける。雑踏の清水坂にいるのを忘れる瞬間だった。
上のコメントでは「こうした店が立派に成り立っている…」と書いたが、半年後、京都をきめ細かくスケッチされているOHさんから「清水坂の例の場所が空き地になっていましたよ」と聞いた。近くまで行ったついでに訪ねてみると、なるほど…(09.12.08撮影)

清水新道(茶わん坂)(京都市東山区)07.10.24 36×51cm
清水寺への道の一つ、五条坂から分かれる清水新道(茶わん坂)は比較的観光客も少ない。スケッチポイントを探しながら登っていくと、与堂さんの「京の絵だより」のページで見かけたポイントがあるではないか。古びた石段が魅力的である。右正面に八ツ橋店があって、修学旅行生に呼び込み続けている。「駅の売店などで手に入る大手メーカーの製品ではないよ。ここで作ってここで売っているだけ・・・」。最近、食品関係の偽装事件が相次いでいるだけに、妙に説得力があった。

清水寺あたり(京都市東山区)07.10.24 31×41cm
上の絵を描いた後、清水観光駐車場へ向かう途中、古い家の間から、まるで神戸・北野町の洋館を思わせる建物が見えた。スケッチしながらよく観察すると、屋根にはお寺に付き物の鴟尾(しび)が上がり、塔屋には教会風の風見鶏まである。聞けば大正時代に清水焼の窯元が自宅として建設し、30年ほど前から湯豆腐の「順正」が店舗として使っているとのこと。京都市庁舎などを設計した著名な建築家の作だそうだ。手前では今、団体客用の新館を建設中で、このアングルから間もなくこの建物は見えなくなる。

京都市東山区・八坂の塔
「近畿の旅1」(兵庫、京都)の目次へ