京都府

綾小路通(京都市下京区)

綾小路通は四条通の1本南の通り。その新町西入ルに「杉本家」という壮大なお宅がある。杉本家は江戸中期創業の呉服商「奈良屋」を営んでいた。江戸時代に京都経済を支えていた「江戸店持ち京商人」(えどだなもちきょうあきんど)と呼ばれる大商人のうちの1軒。その建物は京都市内に現存する京町家の中で最大規模といわれ、京都市指定有形文化財だったが、2010年4月に国の重要文化財への指定が決まった。祇園祭の時には杉本家の前に「伯牙山」が建つ。

   
  19年祇園祭・伯牙山(京都市下京区綾小路通新町西入ル)2019.07.14    F6  
  今年は天候不順のため祇園祭スケッチはあきらめかけたが、7月14日朝、天気予報を見ると京都は終日曇りとなっていたので、急遽、描くことにした。ちょうど岡崎の京都市勧業館(みやこめっせ)で「浪漫G展」が開催中のため、会場へ行く前に四条烏丸付近へ寄り道した。四条通には大型の鉾が林立しているが、やはり狭い路地の方が気楽に描けるので、ほぼ毎年描いている綾小路通の「杉本家住宅」の前に建つ「伯牙山」を選んだ。伯牙山の右側向こうに小さく見えるのが「芦刈山」。  
 
 
   
  17年祇園祭・伯牙山(京都市下京区綾小路通新町西入ル)2017.07.14     F6   
  「船鉾」をスケッチ後、すぐそばの「伯牙山」へ行った。伯牙山は重要文化財指定の杉山家住宅の前に建っており、それこそ何回も描いているが、日陰の具合もよいので、もう1回。ほぼ描き終わったころ、今度は奈良にアトリエを構える竹居さんがやってこられた。竹居さんは毎年、極めて積極的に祇園祭の山鉾建てのスケッチをしておられ、最初の出会いも祇園祭スケッチの現場だった。あれから何年になるのか。今年描かれたスケッチの数々を拝見しながら、私のも仕上げたが・・・。  
 
 
   
  17年祇園祭・芦刈山(京都市下京区綾小路通西洞院西入ル)2017.07.14     F6  
  「伯牙山」のところから西の方を眺めると、西洞院通りを越えたところに「芦刈山」が見えた。行ってみると山の横の建物もなかなか魅力的なので、これを描くことにした。スケッチしていると地元の小学生の一団がやって来た。社会勉強かなと思ったら、芦刈山のPR活動のようで、私にも手作りの芦刈山の解説パンフレットをくれた。ほとんどが平仮名で、たまに漢字が混じる手書きだが、内容は高度で立派なものだった。右の町家の玄関に架かっているのは祭提灯かと思ったら、裏側に「京都酒場あかまる」と書いてあった。  
 
 
「伯牙山」と「杉山家」(京都市下京区)2014.07.14     F6     
綾小路通にある重文の杉山家の前に「伯牙山」が建つ。2つの組み合わせが気に入り、これまで何回も描いている。2014年の祇園祭スケッチでも、歩さん、M.Kさんという新メンバーと一緒だったので、この場所へ案内を兼ねて綾小路通へ。今回はあくまでも「伯牙山」を主役にしてみた。この日は曇天のため日向や日影を気にせずに描けたが、晴天なら暑くてとてもスケッチできるような場所ではない。途中で昼食にし、食後、再びこの場所へ行ってみると、空が薄暗いので提灯に光が入っていた。

12年・「伯牙山」付近京都市下京区綾小路通新町西入ル2012.07.14         F6
船鉾を描いた後、Iさん、けんさんと3人並んで、綾小路通で杉本家住宅の前に建つ伯牙山を描いた。いつもは公開していない杉本家の内部が見学できるとあって、入り口には人があふれている。町内の子供たちが揃いの浴衣で遊んでおり、たびたび絵を覗きにきたので、お礼にちょこっと描き込んでおいた。このあと、私一人がもう1枚欲張ろうと場所を移動したが、入れ違いにひまつぶしさんや与堂さんもこの場所に移動してこられたようで、皆さんの揃い踏みになった。

「田中長奈良漬店」(京都市下京区綾小路通烏丸西入ル)2011.12.31    F4
大晦日に開く忘年会の集合までの時間調整に、杉本家を描こうかと思った。しかし目新しい場所の方がいいかなと奈良漬の老舗「田中長奈良漬店」を小さな紙に描くことにした。大晦日の夕方なのに、さすが老舗、ポツリポツリとお客がある。この店のある場所は通り名でいうと「綾小路通烏丸西入ル」だが、町名でいうと「童待者町」(どうじしゃちょう)。その由来は知らないが、いかにも由緒ありそうな町名である。

杉本家住宅(京都市下京区綾小路通新町西入ル)11.07.27      36×51cm
この日は、これまで祇園祭の山鉾の背景としてしか描いたことがない杉本家住宅をまじめに描くことにした。道端で描いていると向こうから2人の元気な少年がやってきたので、絵に描き込んだ。赤いシャツの方は小学1年とかで、すぐにどこかへ行ってしまった。しかし、黄色のシャツの方は、まだ幼稚園年長さんなのだが、夏休みでヒマということで、鉛筆段階の絵が仕上がるまで、ずっと付き合ってくれた。

山鉾のある町並み09−5(下京区綾小路新町西入ル)09.07.14   F5   Tさん蔵
09年の祇園祭スケッチでは朝から4枚も描いたので、もういいなという気分だったが、ご一緒した3人はまだ描く気十分のようである。結局もう1枚ということになった。観光客の数も多くなってきたので、空いた場所で描こうと、昨年も描いた杉本家の前に行った。小さめの紙を用意、杉本家の複雑な構造をを描かなくてすむ構図を選んだ結果、比較的短時間でスケッチは終わった。後の時間が空いていたひまつぶしさんと冷えたビールで乾杯。暑くて長かった一日を締めくくった。

杉本家と伯牙山(京都市下京区綾小路通新町西入ル)08.07.15  36×51cm
杉本家は京都市内に現存する町家では最大規模という。以前、この家をスケッチしようと前まで行ったことがあるが、軒が真っ直ぐで変化がなく絵になりにくい。祇園祭の期間には、目の前に伯牙山が建ち、構図的にも変化が出る。杉本家の表玄関には幕が張られ、注連縄も飾られて「ハレ」を演出している。またとないスケッチチャンスである。絵を覗きに来られた品の良い老婦人と話していると、それが杉本家の奥さんだった。

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