奈良県  
 
 
  諸木野宿(宇陀市榛原諸木野)  
 
 
  どこかいい場所はないかと探していて、あるブログでこの風景を見付けた。伊勢神宮に向かう伊勢本街道は宇陀市榛原で伊勢表街道と分岐後、国道369とほぼ同じルートをたどっていたが、榛原高井からしばらくは国道筋を離れて山の中へ入り石割峠を越える。その途中にあったのが「諸木野宿」である。  
 
 
   
   諸木野宿①(宇陀市榛原諸木野)16.10.31     36×51㎝  
   
高井から見事な杉林の中の細い山道をうねうねと登り、突然視界が開けたところに隠れ里のような諸木野の集落があった。今は戸数10余りの小さな集落だが、大和棟造りがたくさん残りいかにも奈良の農村らしい。訪問するまでよく知らなかったが、集落の中にあった説明板によると、かつてこの村に9軒もの旅籠があり、関所まであったという。



スケッチしている横を「今日は御杖村まで行く」という私とほぼ同年代の人が通り過ぎていかれた。たまたまこの人は、絵を通じて交流のあるZhongさんが昔勤めていた会社の同僚だったことが分かった。4日後の昼にはもう伊勢・外宮に到着されたという。驚異的な体力である。



                                                                                  諸木野集落の入り口に建っていた標識→→
 
 
 
   
   諸木野宿②(宇陀市榛原諸木野)16.10.31     F6  
  諸木野宿には昔は9軒もの旅籠があったそうだが、今では旅籠らしい建物は1軒もなく、いかにも奈良の農山村らしい風景が広がっているに過ぎない。集落の中をひと通り歩いてみて、集落の入り口にあるトタン葺きのお宅に焦点を当てて2枚目を描いた。奈良県特有の急勾配の切り妻屋根である。集落内には残念ながら住人の気配がしないお宅も多く、全体がひっそりしている。  
 
 
   
   諸木野宿③(宇陀市榛原諸木野)16.10.31     F6  
  諸木野の集落の一番高いところに見事な大和棟のお宅が2軒見えたので、近づいてスケッチした。山村では手入れができずに崩れかけている家を見かけることが多く、心が痛むが、こうした立派なたたずまいを見ると「あっぱれ」と言いたくなる。スケッチ場所の後ろには田んぼがあり、その向こうに「諸木野の桜」の大木があった。水の入った田んぼに映る桜の花はさぞきれいだろうと想像した。  
 
 
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