奈良県

般若寺あたり(奈良市般若寺町ほか)

奈良市北部にある般若寺は花の寺とも呼ばれる。その門前を通る街道は奈良と京都を結んでいる京街道の旧道で、奈良市街地から出る坂道を「奈良坂」と呼ぶ。街道沿いには鎌倉時代につくられた重病者の医療・救済施設といわれる北山十八間戸(きたやまじゅうはちけんこ)や明治時代に建築された奈良少年刑務所などの建物もある。

   
  奈良坂A(奈良市興善院町)17.04.29      F6  
  この日は、あちらこちらに雷雨予報が出ていた。大柳生で描いていると突然空が真っ暗になり、ポツリと雨が降りだした。これを機に引き揚げることにしたが、般若寺辺りまで戻ってくると空はからりと晴れ上がっている。先日、般若寺付近で開かれたスケッチ会で雨のため描きそびれた「奈良坂」のポイントを思い出し、もう1枚欲張ることにした。「奈良坂」はとても歴史のある坂で、そう言われてみると両側の家並みにも何となく風情があるように感じる。急いでスケッチを終え、坂を下りたところの手貝町で開かれている「ぶらりすけっち展」を訪問した。この展覧会訪問がこの日の本来の目的だったが、長々と道草をしてしまった。  
 
 
   
   北山十八間戸(奈良市川上町)17.04.08     F6  
  この日、悠彩会スケッチ会が奈良市北郊の般若寺周辺で開かれた。あいにく雨が降ったり止んだりの天候だったため、屋根がある場所を探し、浄福寺というお寺の門の軒先を借りることにした。目の前に北山十八間戸(きたやまじゅうはちけんこ)の横に長い建物がある。遠くには奈良県庁の特徴ある建物が見え、その手前に市街地が広がっている。北山十八間戸の所在地を調べたら川上町で、川上町のページも別に作っているが、いきさつ上、こちらに載せる。  
 
 
   
  旧奈良少年刑務所(奈良市般若寺町)17.04.08     F6   
  悠彩会スケッチ会の続き。いかにも雨が降りそうな天候なのに降らないので、2枚目は何人かの仲間が描いている旧奈良少年刑務所前へ移動した。「旧」というのは2017年3月末で閉鎖されたため。閉鎖後にはホテルなどとして利用される構想があるとか。門はスケッチポイントとして人気があるが、できたら塀の中の本館も描きたいと思い、敷地横の土手の上に座った。しかし本館は塀の上に少し顔を出しているだけのため、この部分だけは立ち上がって描いた。もう少しでフィニッシュという段階でかなり激しい雨になった。傘を差して何とか仕上げたが、後で見ると門のデッサンがずいぶん狂っている。  
 
 
   
  植村牧場(奈良市般若寺町)17.04.08     F6  
  悠彩会スケッチ会の昼食会は般若寺の向かいにある植村牧場のレストラン「いちづ」で。こんな市街地に近い住宅地に牧場があるのも珍しいが、1883(明治16)年からこの地で牧場をやっているといい、今の牧場主は4代目とか。現在では30頭の乳牛などを飼育、知的障害者も積極的に雇用しておられる。さてそのレストランでは下見していた幹事の薦めによりほぼ全員が「レディースランチ」を注文した(ちなみに悠彩会メンバーは高年男性ばかり)。ボリュームと味、とくに豪華なデザートに満足したが、最後にコーヒーを注文したのは失敗だった。コースでは自家製の牛乳も選べ、せっかくならそれにすべきであった。食後もいかにも雨が降りそうだったので、屋根のあるレストランのテラスから牛舎を描いた。柵の中にいるのは羊なのだが、そう見えるかな。結局今回も般若寺のスケッチはパスした。  
 
 
奈良少年刑務所(奈良市般若寺町)2011.02.25     F6
ある本に、高台の多門城跡にある若草中学校は周囲の見晴らしがよく、「とくに真北に見えるレンガ造りの建物はまるで中世ヨーロッパの城を思わせる」と書いてあった。ヨーロッパへ出かける機会もないので、せめて奈良でそれらしい風景を描ければいいなと思った。しかし、同中学から北の方向には新興住宅が見えるばかり。仕方なくその建物の近くまで行き、スケッチポイントを探した。1908年(明治41年)に竣工した奈良少年刑務所である。門から中を覗いていると門衛の人に「面会ですか」と聞かれた。

奈良坂@(奈良市興善院町)2011.02.25     F6
少年刑務所を描いた後、奈良坂のどこかで描こうと思い、付近をうろついた。スケッチポイントを決めるのに少し迷ったが、結局、いかにも坂らしいアングルを選んだ。この坂を上った所に般若寺がある。

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