奈良県

福貴(平群町)

福貴(ふき)は平群町役場の西側、生駒山脈の東麓に広がる斜面にある。周辺には新興の住宅団地もできているが、起伏のある地形に古い家々が点在、絵になる集落である。なかでも国の重要文化財に指定されている藤田家住宅に存在感がある。

重文・藤田家住宅(平群町福貴)2012.03.19     36×51cm
小さな谷を挟んだ南側の高台から重文・藤田家住宅を描いた。平群町ホームページによると、藤田家は武蔵国出身で鎌倉時代に武士になり、室町時代に大和国へ移ったが、江戸時代初期に帰農して平群で庄屋職を務めたという。周囲に白い長い塀を巡らせた壮大なお宅は、庄屋屋敷というより陣屋を思わせる。昭和53年に重文に指定され、その後、半解体修理が行われたという。写真で見ると建物はピカピカで、近くからだとおそらくスケッチする気にはならないと思うが、遠目からみれば素晴らしい大和棟である。

福貴@(平群町)2012.03.19     F6
田んぼの畦に座り、谷越えに見える重文「藤田家住宅」を描いたあと、斜面の上の方に広がる福貴の集落へ入ってみた。起伏のある地形なので家並みに変化があり、けっこう面白いポイントがある。

福貴A(平群町)2012.03.19     F6
この日は風が冷たかったので、3枚目は日当たりが良くて風も吹かない坂道を選んだ。何ということがない集落内の風景だが、構図がちょっと気に入った。描き始めて気がついたのだが、右側のお宅はどうやら人が住んでいないようである。しかし、最近までは普通の生活があったような雰囲気が漂う。過疎化が深刻な村でスケッチしていると、こうした風景に出合うことがよくあるが、胸を締め付けられる思いがする。

北福貴(平群町福貴)2012.03.19     36×51cm
福貴は谷を挟んで二つの集落から構成されており、重文・藤田家のある方は「北福貴」とも呼ばれるようである。南側の集落で描いた後、藤田家の近くへ行ったみた。こちらも変化のある地形で、魅力的なスケッチポイントがあった。その中から、いかにも奈良らしい三角屋根を中心に梅などが咲き誇る春らしい風景を選んでみた。

平群町鳴川・千光寺あたりへ
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