奈良県

米谷町、中畑町(奈良市)

「米谷町」と「中畑町」は奈良市の最南端、天理市街地東側の山中にある。ちょうど名阪国道(国道25号)が大きくカーブしながら大和盆地(奈良平野)から大和山地へ駆け上る途中の道沿いにある。両集落とも名阪国道を走りながら、車窓から偶然に見つけた。

   
  冬の中畑町(奈良市)2018.02.25制作     54×74p(P20号)   
  この日、斑鳩へ行く予定を変更して中畑町へ行ったのは、もう1枚描く予定の寒さ対策の絵の材料を仕入れる狙いがあった。階段状になった中畑町の家並みは20号サイズの絵にも堪えると読んだ。現地へ20号パネルを運べば理想的だが、その勇気もないので、現地で描いたP8サイズの絵(↓)と写真を参考にしたが、サイトに掲載したときにP8との違いを出すため、描き込む範囲を広げた。その分に手前にある雑草の土手の処理に手こずることになった。  
 
 
   
  中畑町B(奈良市)2018.02.20     36×51p  
  2月も中旬になって、まだ寒い日が多いものの、たまに暖かい日がやってくるようになった。この日は「暖かい」との予想だったので、スケッチに出かけることにした。斑鳩にでも行くかと家を出たが、途中で気が変わり、奈良市の中畑町へ行った。この集落へ向かう名阪国道が工事の影響とかで渋滞、いらいらしたせいか、現地に到着後も、見事な階段状の家並みを前にしながら、手がスムーズに動かなかった。  
 
 
中畑町@(奈良市)    2014.11.10       36×51p 
室生へ行った帰り、名阪国道の急坂を下りながら、道路脇の斜面に建ち並ぶ家並みを見つけた。その景色が忘れられず、またスケッチに出かけた。中畑町は行政的には奈良市に属しているが、いかにものんびりとした農山村。目の前にはひな壇状に家並みが広がる好みの風景があった。ところがスケッチを始めてすぐ、腹の底に響くような騒音が切れ目なく続いていることに気が付いた。地図を見ていただくと分かるが、Ω状の道路がこの集落を取り囲み、無数の長距離トラックがエンジンを唸らせながら急坂を登っているのである。

中畑町A(奈良市)    2014.11.10       F6
2枚目を描くため山伝いに隣接する米谷町へ行ってみたが、好みのアングルが見つからない。再び中畑町に戻ってほぼ同じ位置からもう1枚描いた。屋根の並び方が面白く、周囲の山々の紅葉もそれに色を添えている。名阪国道(国道25号線)には中畑町と米谷町の専用のような「五ヶ谷インター」があり、交通は案外便利。しかし、帰りは奈良市中心部へ直接向かう県道187号線をたどってみた。長い下り坂の山道が延々と続き、両集落がいかに山深いところに立地しているかを実感した。

米谷町の大和棟(奈良市)2011.06.30     36×51cm
名阪国道が奈良平野へ下る大きなカーブを走っていて、魅力的な大和棟がふと目に入った。何しろ事故が多いことで有名な急坂カーブなので、見えたのはほんの一瞬だったが、記憶を頼りにそれらしい場所を訪ねてみた。天理東インターを降り、天理市岩屋町へ行ったが、その家は見つからない。岩屋町で何枚か描いた後、脱輪しそうなほど狭い山道(旧伊勢街道とか)をしばらく走ると、やがて奈良市域に入ったところに…あった。すでに日は傾きかけていたが、その姿に感動しながらスケッチした。

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