滋賀県

針江(高島市新旭町)

高島市新旭町の針江は「生水(しょうず)の郷」と呼ばれている。とても水が豊富で、各家が湧水を利用した「かばた」(川端)という台所を備えていることで知られる。ただ「かばた」の見学には有料のガイドを雇う必要があり、何となくスケッチもしにくそうな雰囲気のため、これまで敬遠してきたが、浪漫会のスケッチ会がここで開かれたのを機に初めて訪問した。

針江・日吉神社から(滋賀県高島市新旭町       2015.05.27    36×51p
浪漫会のスケッチ会が針江で開かれた。針江は地元の人がスケッチなどをあまり歓迎しないイメージがあったが、今回は滋賀県在住のMさんが案内役を買って出てくれたお陰で、とてもスムーズに運んだ。しかし、日差しが強く暑い。日向で描く勇気がなく、地区の中心部にある日吉神社の木陰に陣取った。アングルより涼しさ優先である。この絵に描いた橋の欄干のところでメンバー3人がバイカモの花が揺れる小川に焦点を当てて描いておられる。いかにも暑そう。

針江・「かばた」が並ぶ通り(高島市新旭町       2015.05.27    25×41p  
この絵はこの日の最後に描いたものだが、針江らしい風景なので、順番を入れ替えて掲載する。針江の特色は「かばた」(川端)があることだが、最初に「かばたの見物はガイドなしではダメですよ」とクギを刺されていた。しかし、外から見えるものを描くのは良かろうと勝手に解釈して歩いていると、溝川に沿ってずらりと「かばた」が並ぶ場所に出た。道端に木陰があったので、そこに入り込んでスケッチした。スケッチ後、右手前の小屋ようにみえる「かばた」を、内緒でちょっと覗いてみると、中にはこんこんと水が湧き出る水槽があった。通りの先の方には、家が取り払われた空き地に「かばた」だけが残っている場所もあった。

針江の町並み(高島市新旭町       2015.05.27    F6
針江の町並みそのものはそれほど特徴はなく、近江平野の他の農村とあまり変わりがない。町を歩いていてちょっと面白いなと思った場所があったが、日陰がない。無理をすることはないとその近所で日陰で描けるアングルを選んだ。スケッチしていると「ズドーン」「ズドーン」と腹の底まで響くような音が絶えず聞こえる。何だろうなと思い、通りかかった人に聞くと「自衛隊ですよ」と。そういえば陸上自衛隊饗庭野演習場が同じ新旭町内にあることを思い出した。後で知ったが高島市のホームページに訓練スケジュールが掲載されており、この日は0時から20時までずっと砲撃や射撃の訓練が行われていた。

川島酒造(高島市新旭町旭       2015.05.27    F6
JR新旭駅から針江に向かう途中、新旭町旭で造り酒屋が見えた。針江でスケッチしていた場所から5分ほどの距離なので、途中でその酒蔵・川島酒造を描きに行った。ところがスケッチ終了後、絵の合評会を兼ねて、この酒蔵で試飲会をするという。酒蔵の方も酒好きへの対応はしっかりしていて、店の向かい側にある休憩所に緋毛氈を敷いた縁台を置き、ゆっくり飲めるようになっている。しかも近くにおいしい豆腐を作っている店があった。ボトルでお酒を買い、その豆腐と完成したばかりのスケッチを肴にしながら「本格的試飲会」が始まった。初めての楽しい経験だった。

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