奈良県

法隆寺あたり(斑鳩町)

「斑鳩」という地名を聞くだけで歴史に彩られた大和路を感じる。斑鳩を代表するのが法隆寺。その法隆寺の周辺にはお寺を支えてきた人たちが生活する「東里」と「西里」をはじめ落ち着いた町並みが広がっている。

   
  法隆寺・夢殿(斑鳩町法隆寺山内)2018.12.25   F6  
  法輪寺を描いた後、久しぶりに法隆寺へ行った。東側からアプローチしたため、たまたま夢殿が見える場所に出たので、さっそく堂の前に座ってスケッチした。法隆寺の境内はスケッチ禁止と聞いているが、この場所は境内には違いないものの、五重塔などがある西院と夢殿がある東院を結ぶ通路であり、入場料も要らない区域。スケッチ中に通りかかった関係者からも特に苦情は出なかった。ただ、この場所でもスケッチ禁止と言われた友人もいて、やはり法隆寺はスケッチには鬼門のようだ。  
 
 
   
  法隆寺五重塔遠望(斑鳩町法隆寺北1丁目)2018.12.25   F6  
  斑鳩3塔の中で法隆寺の塔がただ一つ五重塔なのに、境内の外からは一番見えにくい。法隆寺東側に塔がちらっと見える細い通りがあり、ずいぶん前にお寺の周囲を歩き回ってようやく探し当てて描いたポイントがあることを思い出した。夢殿がある東院の北側の塀沿い道で、「以前描いたのとまったく同じ構図だなあ」と思いながらスケッチした。このページの一番下に掲載しているとおり、以前描いたのは2001年の大晦日。  
 
 
   
   「法隆寺」集落にて@(斑鳩町法隆寺)16.12.18     F6  
  法隆寺境内の住所表示は法隆寺山内、門前が法隆寺1丁目、2丁目、さらに周辺には法隆寺東、同西、同南、同北などの集落が広がっている。ところが、お寺からずいぶん距離のある矢田丘陵の山の中に「法隆寺」という集落があり「お寺と特別な関係があるのかな」と以前から気になっていた。法隆寺の裏手から法隆寺カントリーのコースの間を抜け、山道をうねうねと3キロほど登ったところにその村はあった。戸数20ほどの農山村で、出会った2、3の人に聞いてみたが、法隆寺との縁はよく分からなかった。とにかく日当たりの良い場所に座ってまず1枚。  
 
 
   
  「法隆寺」集落にてA(斑鳩町法隆寺)16.12.18     F6  
  「法隆寺」集落に絵心をくすぐる大和棟造りのお宅があった。周辺でスケッチポイントを探し、そのお宅より一段高いところにある空き地が日当たりも良いので、椅子を出した。ちょうど大和棟の横顔を描く感じで、目の前に見える部分は道路に面しているものの、スケッチするのが申し分けないプライベートスペースである。壁に開けられたトイレの窓が、住友グループの井桁マークになっているのに気がついた。  

 
   
   「法隆寺」集落にてB(斑鳩町法隆寺)16.12.18     F6   
  「法隆寺」集落の様子が分かるポイントはないかと探した。立派な佇まいの旧家の裏側へ登ると、多くの家々が見渡せた。これで集落にある民家の半分ぐらいである。ちょうど日陰になっており寒かったが、急いで描くことにした。そばで農作業をやっていたその旧家のご主人がやって来て、しばらく話をした。この場所は斑鳩町の外れで、この絵の左上に見えている2軒ほどはもう隣町の平群町白石畑という集落に属しているという。  
 
 
法隆寺五重塔(斑鳩町)2014.12.23       36×51cm
この日は松尾寺を手始めに法輪寺、法起寺、法隆寺の塔を順番に描くことにしていた。法隆寺の塔は境内の北東にある「天満池」という溜池の土手の上から遠望できることを知っていたが、ここで描くのは初めて。午後遅めなので五重塔がシルエット状態になっている。やがて、高級そうなカメラを抱えた方々が同じ土手の上にやって来た。五重塔の向こうに太陽が沈むこの場所は、冬の夕方の人気撮影ポイントのようである。こちらはあまり暗くなって細部が見えなくなっては困るので、急いでスケッチした。着色の参考に私も写真を撮ったが、逆光のため安物のデジカメでは何が何だか分からない写真となった。

柿と法隆寺(斑鳩町法隆寺北1丁目)10.11.20      36×51cm 
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」というあまりにも有名な句のおかげで、法隆寺あたりへ行くとつい柿の木を探したくなる。09年、産経新聞に連載された安野光雅画伯の「日本のふるさと奈良」というスケッチシリーズに、柿の木の向こうに法隆寺の塔が見える印象的な1枚があった。しかし、現実にこんな場所はあるはずがなく、画伯の創作だと思っていた。この日の朝、何気なくNHKテレビを見ていると、その作品とまったく同じ風景が映し出されているではないか。「柿の実が熟れているのは今しかない」と思い、さっそくその午後に出かけた。逆光の中で苦労しながらスケッチしていると、カメラを抱えた家族連れがやってきて「今朝のNHKで見たのはこの風景」などと言いながら盛んにシャッターを切った。

法隆寺遠望(斑鳩町法隆寺北1丁目)10.11.20      F6
「柿と法隆寺」のスケッチポイントは、よく車を止めさせてもらう「ふれあい交流センター」の駐車場から至近距離にあった。その駐車場からも塔はよく見えるので、おまけにもう1枚描いた。この駐車場は、冬の夕方、塔のちょうど向こうに太陽が沈む光景の撮影ポイントだそうで、09年暮れ、スケッチを終えて引き揚げようとする私と入れ違いに、カメラマンが続々と集まってきた。

法隆寺・東里B(斑鳩町法隆寺北1丁目)09.12.29
この日は法隆寺の塔を描こうと思って出かけた。しかし、周辺を歩いても塔はほとんど見えない。お寺の東側にある「東里」から出発して、お寺を一周、結局、元の場所に戻ってきて、ようやくこのポイントに出会った。この間約1時間、思いっきり生活臭の漂う路地だった。

法隆寺・東里C(斑鳩町法隆寺北1丁目)09.12.29
法隆寺の東里で、塔の見える風景を1枚描いたあと、車を止めている「ふれあい交流センター」の駐車場へ引き上げる途中、ふとこの風景が目に止まった。何気ない風景だが、幸い背中から日が当たるので、もう1枚描くことにした。

法隆寺門前(斑鳩町法隆寺1丁目)08.02.20 36×51cm
天気予報をみてスケッチに行くことを決めたが「どこへ」という結論がなかなか出ない。とりあえず奈良方面へ車を走らせ、結局、法隆寺あたりへ。南大門の門前で法隆寺に背を向けて座わると、日当たりが良く、最高のスケッチ環境である。絵に描き込んだ土蔵の持ち主の老婦人によると、門前のこの道は昔はバスが通っていたというから、国道25号線が開通する前は奈良から法隆寺へのメーンストリートだったのかもしれない。

法隆寺西里(奈良県斑鳩町法隆寺西1丁目)08.02.20  31×41cm 
この日は直接「西里」を目指した。以前にも訪ねたことがあるが、土塀の続く細い道ばかりで日向が確保できず、スケッチをあきらめて寺の東側の「東里」へ回ったことがある。この日も同じ道を歩いていると、日当たりのよい駐車場があったため、ここで描くことにした。冬は太陽が一番のご馳走である。

法隆寺東里A(斑鳩町法隆寺北1丁目)06.02.18 36×51cm
東里の小高い丘の上に「ふれあい交流センター」という新しい施設があって、その庭に立つと目の前に東里の甍の波が広がっていた。遠くには葛城山や二上山が霞んでいる。広々とした景色を前に、暖かい日差しに包まれゆったりとスケッチした。

法隆寺東里@(斑鳩町法隆寺北1丁目)01・12・31 F8
大晦日。今年の描き納めをしようと法隆寺を目指した。法隆寺境内は絵葉書みたいだし、第一、スケッチ禁止と聞いたこともある。境内の西側の西里に古い町並みがあると聞いて訪ねたが、肝心のポイントが空き地になっている。周囲を一周、ようやく東側の東里でこの景色を見つけた。

法起寺あたり(斑鳩町)
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