滋賀県

仰木(大津市)

大津市仰木は琵琶湖を見下ろす比叡山の東麓にあり、地区内に奥比叡ドライブウェイの東の入り口がある。水の豊富な地区らしく周辺に大規模な棚田が広がっている。明治時代には独立した仰木村だったが、堅田町を経て1967年(昭和42年)年に大津市の一部となった。旧来の集落は仰木1〜7丁目で、ちょっとしゃれて仰木の里と呼ぶと、違う場所にある新興住宅街を指す。

   
  近江富士遠望@(大津市仰木から)17.01.18     36×51p  
  雪景色を描きに行った伊香立生津の高台から眺めた琵琶湖が綺麗だったので「そうだ琵琶湖の冬景色を描こう」と思い、仰木へ移動した。仰木市民センターに車を置かせてもらい、見晴らしの良いポイントへ行くと、白い田んぼと家並みの向こうに琵琶湖の湖面が広がり実に雄大な景色である。対岸は守山市、野洲市、近江八幡市辺りのようで、独特の形をした近江富士(三上山)だけはすぐに特定できる。その背後に見える雪山は鈴鹿山脈であろうか。  
 
 
   
  近江富士遠望A(大津市仰木から)17.01.18     F6  
  空気は冷たいが、風がなく日当たりが良いので寒さは感じない。何よりも雄大な景色に向かいあっていると、とても気分が爽快になる。というわけで、同じ場所でもう1枚描くことにした。2枚目なので、前回よりズームをきかせて描いた。残念ながら正面に見える町並みは新しい住宅地で好みの「古さ」は感じないが、遠景なのでまあいいか。  
 
 
   
   仰木・雪景色(大津市)17.01.18     F6  
  仰木の特色はなんといっても斜面全体にびっしりと並ぶ家々である。ちょうど背中から日が当たる絶好のスケッチポイントがあったので、もう1枚、雪を被った家々を描くことにした。残念ながら雪が降って2、3日経ち、この日も朝からずっと晴天だったので、南斜面に並ぶ各家の屋根の雪はすっかり溶け、半分裸になっている。  
 
 
上仰木から琵琶湖遠望(大津市仰木)       2015.04.30      36×51p
日を置かず棚田と家並みの組み合わせが面白い仰木へ出かけた。前回とは違うポイントで描くため、事前に航空写真でいろいろ調べた。田んぼの周辺にはイノシシやシカなどから作物を守るため高いフェンスが巡らされており、スケッチや写真撮影で中に入ったり近づくことができない場所が多い。このため上仰木と呼ばれている高い場所の農道に狙いを定めて行ってみた。幸いベストポイントと思える場所にたどり着くことができ、満足しながらスケッチした。遠くに琵琶湖が見え、近くの田んぼではすでに田植え機が入っているところもある。この場所にも目の前にはフェンスがあったが、絵ではもちろん無視した。

仰木2丁目にて@(大津市仰木)       2015.04.30      F6
上仰木から琵琶湖の遠望を描いたあと、急斜面に家々が並ぶ仰木2丁目の家並みの中に入ってみた。見晴らしが良くて邪魔にならないポイントがないかとキョロキョロしながら歩いていると、村の人が「皆さんがそこでよく描かれていますよ」と言われる。道端にガレージがあって日陰になっており、琵琶湖側も比叡山側も眺めが良い。琵琶湖遠望を描いたばかりなので、今度は比叡山の方を向いて1枚。ただ、狭い道はけっこう車の通行が多く、たまに大型の田植え機まで通る。そのたびに立って道を譲ったが、村の人には迷惑な存在だったと思う。

仰木2丁目にてA(大津市仰木)       2015.04.30      F6   
上の絵を描いたガレージのそばからは琵琶湖もよく見える。しかし、道路でスケッチしていると皆さんの通行の邪魔になるので、道路の上にある空き地に入り込んで描くことにした。ちょうど8割ほどスケッチしたところで、その空き地の所有者という人から苦情が出た。「スケッチする了解を取っていない」と言われると返す言葉もなく、道具を片付けた。空き地の所有者が誰なのか、初めて訪問した土地で分かるわけもないが、他人様の土地に違いないのだから仕方がない。長いことスケッチをやっているうちに、いつの間にか厚かましくなっていたと大いに反省した。ただ、この場所からは三上山(近江富士)が正面に見えるうえ、少し高い所へ上ったので近景の構成も面白く、ベストポイントと言える。残りは慌てて撮った写真を見て仕上げた。

仰木3丁目(大津市)       2015.04.30     F6
最初に仰木へ行った時、仰木市民センターの前から堅田方向へ下っていく道路に面して古い町並みがけっこう残っていたのが気になっていた。市民センターに車を止めさせてもらい、そのすぐ近くでスケッチした。最近は農村風景のスケッチが多く、久しぶりにこんな家並みを描く気分。調べてみると椅子を置いた場所は4丁目だが、道の向かい側は3丁目であった。

仰木市民センター辺りから(大津市仰木)       2015.04.24      36×51p
この日は大津市瀬田の唐橋ギャラリーで開かれていた展覧会を訪問後、天気も良いので一度訪ねてみたいと思ってい「仰木」へ行った。棚田で有名だが、思っていたより大きな集落で、どこに棚田があるかもよく分からない。大津市仰木市民センターがあったので、トイレを借りたついでにスケッチポイントを聞いた。窓口の女性が手作り地図で親切に棚田の場所を教えてくれたが、「私が描きたいのは棚田そのものではなく、家並みと棚田の組み合わせなんです」と困ったことを言う。「それならその辺で」と市民センターのすぐそばのポイントを教えてくれた。さすが田植え時期の早い滋賀県だけにすでに田んぼに水が張ってある。何よりも琵琶湖の湖面が輝き、その向こうに一度は描いてみたいと思っていた近江富士(三上山)が見えたのに感動した。


               教えてもらった通りに、後で「仰木の棚田」で一番有名な”馬蹄形の棚田”を訪ねてみた。→→

仰木2丁目の家並み(大津市)       2015.04.24      36×51p 
仰木2丁目は特異な立地条件にある。奥比叡ドライブウェイが通過する尾根筋に家々が並んでおり、とくに南側は崖といえるほどの急斜面になっている。農村集落は生活用水を確保するため谷筋に立地しているのが普通だが、尾根筋に集落ができたということは水がとても豊かな場所に違いない。家並みの周辺の低地に田んぼが広がっており、田の畔から南側斜面の家並みを見上げる形で2枚目を描いた。「楽しい」と感じながらも、ずらりと並ぶ家々をばかばかしいほど丁寧に描いたら、時間がなくなった。まだまだスケッチポイントがありそうなので、後日、再訪問することにした。

視界一杯に広がる仰木2丁目の家並み。とても1枚の画用紙には入りきらない。右側の3分の1ほどをスケッチした。

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