滋賀県

坂本(大津市)

大津市坂本は比叡山の麓に開けた里坊の町で、穴太衆(あのうしゅう)積みと呼ばれる石垣で囲まれた寺々が独特の景観を作っている。日吉大社の参道を琵琶湖に向かって少し下がり、道をまたいでいる鳥居をくぐったあたりに古い町並みが残っている。

坂本・作り道@(大津市坂本4丁目)2011.06.04     36×51cm
悠彩会2011年6月度のスケッチ会が滋賀県大津市の坂本で開かれた。それぞれ好みの場所へ分散したが、有名なそば屋がある「作り道」と呼ばれる界隈には5、6人が陣取り、悠彩会としては珍しく皆で雑談をしながらのスケッチとなった。すでに梅雨入りしているが、この日は晴天で暑い。日影を優先して、庇の深い町家の前に座った。

坂本・鶴喜そばあたり@(大津市坂本4丁目)2011.06.04     F6
昼食会までに少し時間があるので、もう1枚、「鶴喜そば」の付近を描くことにした。斜め向かいにある酒屋さんのテントの下に入れてもらい日影を確保したので、お礼に看板を描き込んでおいた。「鶴喜そば」は創業290年という大変な老舗で、その建物も97年5月に国の登録有形文化財に指定されている。この事実を確かめるため、ネットで調べていて、京都の四条や国道1号線にある「鶴喜そば」は、同じブランド名なのにまったく別の会社の経営ということを知った。何だかがっかりした気分。

坂本・横小路(大津市坂本6丁目)2011.06.04     36×51cm
「横小路」と呼ばれるこのポイントはひまつぶしさんのお気に入りで、過去に何回も描いておられる。実は私も04年に1度描いているが、昼食後に行ってみるとひまつぶしさんが座っておられるので、その隣に座って描くことにした。もう少し前に座れば、木陰に入ることができるが、それでは以前に描いたアングル(下の絵)とまったく同じになってしまう。この場所はわずかに電柱の影があるだけ。その細い日影に身を隠した。ないよりはまし。

坂本・作り道A(大津市坂本4丁目)2011.06.04    F6
「作り道」は午後には日影が東側にできている。もともと道の西側の家並みが面白いので、日影に座ってもう1枚描いた。手前の「塩」という看板を掲げた商店は93年にも描いている(一番下の絵)。「塩」という看板自体が塩の専売時代のものだろうが、その専売制もずいぶん前に廃止されたはずである。看板以外に「ばったり床几」や「障子」といった小物も昔のまま。店のたたずまいは当時とまったく変わっておらず、嬉しくなった。

坂本・鶴喜そばあたりA(大津市坂本4丁目)2011.06.04     F6
「作り道」にある「本家鶴喜そば」の前で、ひまつぶしさんが描いておられた。「お先に失礼」と彼は帰ってしまったが、鶴喜そばの建物を下から見上げた構図が新鮮だったので、後追いして、もう1枚。ところが”見上げた構図”というのが、なかなかの難物だった。

坂本・鶴喜そばあたりB
(大津市坂本4丁目)
2011.06.04
     
F5程度





「本家鶴喜そば」を”見上げた構図”は、やはり紙を縦向きにしないと屋根全体が入りにくいので、紙を縦にして余分の1枚。いつの間にか、空は赤くなり、夕方の雰囲気である。

坂本B(大津市)04・06・13      36×51cm
絵は坂本6丁目あたり。道端の溝を冷たい水が流れており、その水を使って描いた。里坊のある区域は重要伝統的建造物群保存地区に選定されているが、古い町並みのある場所はこの区域外。しかし伝統的な建築様式の町屋がかなり残っている。

この日は梅雨の中休み。日差しはとても強かったが、湿度が低く、通り抜ける風がとても爽やかだった。子供たちが溝川に入って遊んでいる。

坂本C(大津市)04・06・13 キャンソンF8
古い町並みのある「作り道」に、有名なそば屋が2軒ある。一方は「そばは1番、電話は2番、店は角から3軒目」というキャッチフレーズを使っているが、その「角」にあるそば屋の方を描いた。色を着けていると、向こうから坊さんがやってくる。慌てて空いている場所に描き込んだ。

日吉大社参道に面して比叡山中学校がある。その正門前の緑地帯に「ホタルブクロ」が咲いていた。 


                                                                (Fさん画)










一方だけでは不公平と「角から3軒目」のそば屋も。遅めの昼食にはやはりこちらの方を選んだ。

坂本D(大津市)
04・06・13 F6






この絵は93年に描いた「本家鶴喜そば」。創業280年だそうだが、建物自体もずいぶん凝った造りである。

坂本@(大津市)93・09・25 F8








坂本A(大津市)93・09・25
「塩」という看板が出て、店先には「ばったり床机」もある。古い町屋の特色をそのまま残している商店が「作り道」にある。

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